素材に対する考え方

以前私は素材を選ぶ際ブランドにこだわっていました。例えば京野菜をできる限り使用してました。
地元で獲れた鮮度抜群の野菜より京野菜を選ぶといった具合でした。
今は場合によっては京野菜を含めブランド野菜でなくてもいいのではないかと考えるようになりました。
そのきっかけが「かぶら蒸し」です。最初カブは聖護院蕪か天王寺蕪を使用していたのですが、ある時手に入らなくて柏のカブを使用して作ったところ全く変わらないかぶら蒸しが出来たのです。

ここからかぶら蒸しはカブの産地が関係しているのではないな。じゃあ何がかぶら蒸しの良し悪しを決定
しているのであろうかと考えました。そこからふと気付いたのがとろみをつける粉、すなわち片栗粉と本葛の違いではないだろうかと考えるにいたりました。
以前は片栗粉でとろみをつけていたのですが、本葛でとろみをつけたところ違うんです。粉っぽくなく旨いんです。自分の考えがここに至った時、料理によっては素材のブランドではなく調味料が味を左右すると理解しました。

もちろん素材のブランドがそのまま味に反映するものもあります。当店では今なら葱です。
地元で獲れた葱では甘み、柔らかさが千寿ネギに到底及ぶレベルではないです。
また春になれば筍です。京都産の筍はやはり香りも甘~い匂いでしかも柔らかい。千葉大多喜産の筍では
レベルが段違いです。ブランド野菜はブランド野菜たる品質がやはりあるのです。