昨日に続き日本酒の話です。そば屋ですから、旨い日本酒を出したいです。一つの基準があります。
純米酒であるという事です。純米酒とは米・米こうじ・水で作られた日本酒の事です。戦前であればこのような言葉は
存在しませんでした。だって全て純米酒だったからです。
戦時中、食糧統制で米が思うように手に入らなくなった酒造会社が政府に願い出て合成酒の許可をもらい作りだした
事が日本酒がおかしくなりだした切っ掛けです。戦時中は仕方ないですが、戦後もこの合成酒を酒造会社は作り続けました。何故か。儲かるからです。30年以上前酒の格付けが廃止されましたが、特級酒・一級酒・二級酒とあり、特級酒はほとんどこの合成酒でした。
この合成酒のおかげで本物の日本酒の味を知る人が少なくなり、消費の減少に繋がっていくのです。
合成酒は飲むとアルコールの分解が遅れ悪酔いします。これは醸造用アルコールが後から加えられることにより
他の日本酒の成分の分子と比較すると分子が大きいので肝臓による分解が遅れ、悪酔いの原因になります。
当店に来て悪酔いをして、お客様をお返しするわけにはいきません。気持ちよく帰って頂き、翌日も気持ちよく
仕事に励んで頂きたいので、純米酒をお出ししています。そば屋の強みは、そばそのものとそば湯がアルコールの
分解を助けるので翌日楽なんです。江戸っ子もそば湯をつまみに酒を飲む事があります。これは経験上そば湯が
酔いを和らげる事を経験的に分かっているからです。
そばをつまみに酒を飲むというのは、そば屋の立場からもあり得ないと思います。だってそばがのびてしまって
旨くないからです。
そば屋で酒を呑むって昔から粋と称されてきました。どうぞそば屋に呑みに来てください。