昼の営業を出汁巻ランチ一本に絞ったのには理由がある。完全にワンオペになったので単品でのそばの注文は困難になったのが第一の理由。そしてそば屋はそばだけを食べる所ではないですよ。こんな事もできますよとお客さんに知ってもらうためでもある。それがランチの前菜である。江戸のそば屋は関西か来ているので、卵焼きといえば出汁巻が普通ではないかと考え、それを提供している。出来立ての出汁巻の美味しさをお客さんに分かってもらいたい思いがある。ハモの南蛮漬けもこの時期ならではのもの。焼いた胡麻豆富も市販品では味わえない美味しさがある。鮎のかえし煮もウチオリジナルで酒飲みには好評を博している。こういったつまみをメニューで書いてもお客さんは中々注文をしない。しかも、できる限り分かりやすく書いているのだが、分からないというお客さんもいる。ならばランチでウチの主だったつまみを食べて経験してもらったらいいのではないかと考え、ランチで提供している。その前菜の見た目で酒が飲みたくなるというお客さんもいる。そう、それが狙いだ。ウチのつまみは見ると飲みたくなるという気持ちを起こさせる料理だ。ウチを飲み屋として認識してもらいたい俺の思いが込められたランチなのだ。
出汁巻ランチ6
