古関裕而

 今日夏の甲子園が終わった。夏の甲子園で演奏される「栄冠は君に輝く」。いい曲だ。小学生の時ピアノで弾きたくて楽譜を結構探した記憶がある。

この曲の作曲者が古関裕而である。3年前の連続テレビ小説「エール」は彼がモデルの話である。テレビでは独学で作曲を学んだように描かれている。

しかし本当はロシアの作曲家リムスキーコルサコフの孫弟子にあたる。このことはあまり知られていない。リムスキーコルサコフはロシア国民楽派五人組の

一人だ。日本ではムソルグスキーが有名だ。リムスキーコルサコフの弟子が元仙台藩士でギリシャ正教徒であった金須嘉之進だ。革命前の帝政ロシアはギリシャ

正教が国教であった為、金須は留学を許されたのだ。サンクトペテルブルグの帝室附カペーラ声学院に入学。そこの副校長がリムスキーコルサコフ、そしてかれの弟子

ニコライ・ソコロフから作曲学・聖歌・指揮法・ピアノを学んで帰国。日本ではお茶の水のニコライ聖堂に勤務していた。古関裕而はそこに赴いて彼から作曲を

学んだのであろう。クラッシックの基礎はきちんとあったのだ。古関裕而は幼い頃からリムスキーコルサコフ作曲の「シェヘラザード」を聴き、初めて手にした

作曲学の本はリムスキーコルサコフのそれである。兎に角リムスキーコルサコフが好きだったのだ。彼の才能をいち早く見抜いたのが当時の日本のクラッシックの

第一人者山田耕筰である。彼はいつか古関裕而が自分の地位を脅かすだろうと考え潰しにかかる。それを阻止したのが歌手の三浦環である。三浦も古関裕而の

才能を見抜き彼を守ったのだ。その結果が今に至るのである。