お客さんに出汁巻を出すと笑みがこぼれる。特に男性のお客さんは必ず。やっぱり何か思い出すのだろうか。母親の味なのかもしれない。俺も出汁巻ランチを出す切欠は母親の出汁巻がお客さんに好評だったからだ。あれだけ出汁巻の注文があったからには潜在的にお客さんは出汁巻を望んでいると考えた。出すからには母親と同じでは評価されない。それ以上に美味しくないと同等と評価されないのが常だ。今お客さんに出している出汁巻は母親よりも出汁の量が多い。よりフワフワで柔らかい。これでやっと同等に評価される。出汁が多いと切れやすく巻くのが難しいんだけどね。