常連のお客さんで夕方に来店して酒を２～３合飲んで
小一時間で帰っていく方がいる。このお客さんが手の込んだ
つまみよりシンプルなつまみを好む。今一番のお気に入りは
黒豆のマリネ。黒豆を戻して塩、酢、米油で和えたものだ。
このマリネは俺が気にいって商品化したつまみ。豆の甘味、えぐみ
が仄かにしていい。お客さんはこのマリネだと丼一杯でも食べられると
いう。このシンプルさがいいとお客さんはいう。シンプルなつまみこそ
酒のあてにはベストなのだそうだ。シンプルなつまみの中に洗練された
味付けを施す。けして素材の味を損なわない。そんなところがいいのだろう。
俺としては調理する際、素材の味を壊さない様に心がけているのだが、お客さんには
そう感じられないのかもしれない。