鴨肉に興味を持ったのは25年前です。
それまでは浅草の並木の藪そばで鴨南蛮を食べて
あまりうまくないなぁと思ってました。
脂身が多くて美味しく感じなかったのです。
それが今はないですが千代田区一番町にあった
そば屋「一番町吉田」の鴨せいろを食べてイメージが
ガラッと変わりました。
旨かった。
赤身の部分がきれいなピンク色になっていて
きちんと味も肉に浸み込んでいる。
脂身の部分も適度にあって私には丁度よかった。
この食の経験で鴨肉に対する興味がわきました。
どうやったらああいう鴨肉にできるか。
考えて料理の本も読み、一番町吉田へ何度も通い
自分なりのやり方ができてきました。
それはまず鴨肉の下処理、その後肉を強火で全面を焼く。
焼いた後、沸騰したタレに入れ、1分間沸騰した状態で煮る。
1分後、火を止め鍋に蓋をして冷ます。
この冷ます段階で徐々に温度が下がっていき、赤身に
ゆっくり火が入ってピンク色になり味も浸み込む。
こういうやり方に行きつきました。
これがお客さんに受け入れられ、天ぷらに次ぐ
人気商品になっていきました。
現在は当初のやり方から更に数工程加わり
更に良くなっています。
下処理をした鴨肉をピチットという脱水シートに
包んで冷蔵庫で一晩寝かす。
翌日冷蔵庫から取り出し常温に戻す。
常温に戻った肉をビニール袋に入れて真空状態に
して水から25分弱火にかけて55℃まで温度を上げて
筋繊維をほぐします。
そして弱火で肉を全面焼いて、沸騰したタレで1分間
煮て冷ますという手順になってます。