自分の色を出す

 初めて来店したお客さんに「当店の汁は千葉で一番辛いです。
蕎麦は3分の1ぐらいつけて食べて下さい。」と言ってます。
辛めの汁がウチの特徴です。本当に千葉で一番辛いのかと
疑問に思うお客さんいると思うし、実際に「ほんと?」と訊く方も
います。

 私と同じような感性をもっているそば屋は千葉に他にないと
自負しています。そばの産地にこだわるそば屋はあるが汁にまで
神経をとがらせるそば屋はないです。要はばバランスなんです。
そばの香りと汁の辛さのバランスがとれてないそば屋が多いのです。

 砂糖の使いすぎ、もう甘すぎるのです。汁その物を口に含むだけで
甘さが分かるようでは私はダメだと思ってます。そばを付けて口に運んで
噛んで甘さが出てくるこのバランスを大切にしてます。汁は醤油の味が強すぎる
様に感じますが、そば湯を入れて飲むときちんと出汁の香り醤油の味、甘さが
舌で感知できます。このバランスをより鋭敏にしていくのが私のそばと汁です。

 江戸っ子は高々そばにそれ程こだわりません。産地を訊いたり水分は何パーセント
とか訊いたりはまずしません。そんな事より酒とつまみにこだわります。純米酒かどうか、
つまみはまじりっけのない上等のモノかそういったところに気を配ります。
手の込んだ料理は出さないが品質の高いモノを出すのがそば屋の流儀であり
私の流儀でもあります。